マンションの共同利益背反行為

マンションで管理組合から区分所有者(又は居住者)に訴訟をする場合、大きく分けて規約違反(管理費滞納など)と「共同の利益に反する行為」によるものがあります。本稿では後者を解説します。

「共同の利益に反する行為」とは区分所有法6条1項に規定があり、建物を不当に使用したり勝手に外観を変更したりすることの他に、いわゆる迷惑行為(騒音、振動、悪臭)を含みます。これらの行為をした区分所有者に対しては、その行為を停止するよう請求(区分所有法57条)ができ、さらに違反の程度が著しい場合などには建物の使用禁止を求めること(同58条)や、建物を強制的に競売してマンションから排除する許可を求めること(同59条)も可能です。

条文の文言上、これらの場合には管理組合を当事者にすることはできませんので、訴えを起こす場合には区分所有者全員か指定された区分所有者(多くの場合は理事長)を原告とすることになります。また、停止請求の場合には総会の普通決議、使用禁止請求または競売請求の場合には総会の特別決議が必要になります。

どのような行為が「共同の利益に反する行為」に当たるのかはある程度裁判例の蓄積がありますが、まだ不明な点も多く残っています。ここまで紛争が激化することは少ないかもしれませんが、もし裁判によって請求を行うのであれば総会も行う必要がありますので入念に準備をしておくことが必要です。 

コラム

前の記事

退職代行
コラム

次の記事

測量士補 受験しました