フリーランス新法
2024年11月から「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」、通称「フリーランス新法」が施行されます。
これまでフリーランスと発注者との間には法律で規定されたルールがなく、報酬未払や契約書の未作成、ハラスメントなどの問題が指摘されていました。法規制によってそれらに歯止めを掛けることが立法目的とされています。
フリーランス新法では、主に以下の点が定められています。
① 取引条件の明示
発注者は、契約内容を具体的に書面で示さなければなりません。
② 報酬支払期限
報酬の支払いは、原則として業務完了後60日以内に行わなければなりません。
③ 禁止行為
フリーランスに対して1か月以上の業務委託をした場合、「受領拒否 」、「報酬の減額 」、「返品」、「買いたたき」、「購入・利用強制」、「不当な経済上の利益の提供要請 」、「不当な給付内容の変更・やり直し」をしてはなりません。
④ 募集情報の的確な表示
フリーランスの募集を行う際には、必要な情報を正確に表示しなければなりません。
⑤ ハラスメント対策
発注者は、ハラスメント防止のための体制を整備しなければなりません。
⑥ 妊娠・出産・育児・介護に対する配慮
6ヶ月以上の業務委託の場合、発注者はフリーランスからの申し出があった場合に妊娠・出産・育児・介護と仕事を両立できるよう、必要な配慮をしなければなりません。
⑦ 中途解約の場合の予告、理由開示
6か月以上の業務委託を中途解除等する場合は原則として30日前までに予告しなければなりません。また、予告の日から解除日までにフリーランスから理由の開示の請求があった場合には理由の開示を行わなければなりません。
なお、フリーランス新法の対象となるのは、特定の条件を満たす「特定受託事業者」と呼ばれる個人事業主です。法律では2条1項1号と2号に規定がありますが、簡単にいえば業務委託を受ける者のうち、従業員を使用しない個人又は法人がそれに当たります。業種の限定はありません。
この法律に違反した場合には行政からの指導勧告などが科せられる可能性があります。