マンションの管理費請求訴訟(1)訴え提起まで

現在、管理費などの滞納があるマンションは全体の20~30%程度と言われています。まずは文書で督促をすることになるのでしょうが、うまくいかない場合には管理費請求訴訟に進むことになります。

裁判でまず考えるのは誰を当事者とするかです。管理組合そのものを原告とするパターンと管理者(理事長)を原告とするパターンがありますが、一般的には管理組合を原告とすることが多いでしょう。管理規約の内容によっては総会の決議も必要となる場合がありますが、どちらのパターンにするかで決議の内容も異なります。

証拠として用意するのは管理費滞納状況の一覧表に加え、管理規約、滞納者の居住する部屋の登記事項証明書、総会議事録(理事長選任の決議、訴訟提起の決議)などです。管理費の額が途中で変わっているような場合にはその根拠となる決議の議事録も必要となります。

滞納が長く続いているようなときは将来の管理費も含めて請求できる場合があります。滞納による管理への影響や従前の対応状況などを考慮して決定されます。

管理規約に定めがあれば裁判に要した弁護士費用も請求することができます。現行の標準管理規約60条2項(単棟型)にはその旨の規定がありますので、これに準じた規約を持っているマンションであれば問題ありません。逆にいえば規約に規定がなければ請求はできないのですが、弁護士依頼前に規約改正をして費用負担の規定を入れていれば改正以前の滞納に対しても弁護士費用を請求することはできるとされています。

訴えの準備段階から考えておくべきことが多いので、早めに専門家へ相談されることをお勧めします。

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