マンションの管理費請求訴訟(2)訴え提起後

訴え提起後、1~2ヶ月ほどで一回目の裁判が開かれます。

ここで被告(相手方)が滞納を認めれば分割払いなどの条件を詰め、和解という形で早期に終わらせることもできます。ただ相手方が訴訟の場で反論を行う場合もあり、その場合には審理が長引くことになります。

長期滞納の場合には、既に時効が成立しているという反論がありえます。管理費等の時効は5年とされていますから、少なくともそれまでの分は請求することができます。

5年以上経過していても、以前に相手方が支払の意思を示したことがあればそれまでの分は「債務の承認」として時効期間が更新(リセット)されます。滞納額を認識しつつ一部を支払った場合も管理費全体の更新が認められる場合があります。

また、相手方が管理組合に対して支払いを請求できるような権利があればそれとの相殺を主張することも考えられますが、滞納者側からの相殺は否定した裁判例があります。

和解する場合には月々の管理費等に滞納分を乗せて分割で支払ってもらう形にすることが多いと思われますが、相手方の経済状況によっては一部免除を提案されることがあります。免除は財産の処分行為として全ての区分所有者の同意が必要という見解もありますが、「共用部分の管理に関する事項」(区分所有法18条)として普通決議により可能としている見解が多いようです。元本免除まではしないことが多いですが、遅延損害金については完済の際に免除することもあります。訴訟提起の決議の際にその旨も説明して議事録に付記しておくのが望ましいでしょう。