区分所有法の改正(4)

⑳団地内の建物の建替え承認決議(新法69条)
団地内の特定建物の建替えの場合、全体の承認決議については分母が「出席者」(区分所有者及び議決権の過半数以上)となりました。分子は4分の3以上で変更ありませんが、建替えと同様の緩和事由があれば3分の2以上で足りることになっています。

㉑団地内の建物の一括建替え決議(新法70条)
団地内の建物全体の一括建替えの場合、全体要件は4分の3の緩和事由も含めて建替えと同一ですが、各棟要件については全区分所有者及び議決権の各3分の2以上の賛成が必要という現行規定を改めて全区分所有者及び議決権の各3分の1を超える反対がなければよいとしました。
中間派を実質反対から実質賛成にカウントするもので、議決自体は通りやすくなっています。

㉒団地内建物敷地売却決議(新法71条)
決議要件は建物一括建替え決議と同一です。単棟の場合と同様、選択肢を増やすという趣旨によります。

㉓建物が全部滅失した場合の措置(新法72条から77条)
区分所有建物が取壊し決議又は区分所有者の全員同意により取り壊された場合を含め、全部滅失した場合でもそこから5年の間は管理組合が存続し、総会開催や規約制定、管理者の背設置をすることができるとしました。各区分所有者は滅失の1ヶ月を経過する日の翌日から5年までの間は共有物分割請求もできません(新法77条)。
組合の存続する5年の間であれば再建決議、敷地売却決議(いずれも全議決権の5分の4以上。建物が滅失しているので例外事由はありません。)も行うことができます。被災区分所有法の規律を被災以外にも広げたものです。
なお、政令指定災害により大規模滅失(建物価格の2分の1超)又は全部滅失した建物であれば、建替え・更新・敷地売却・取壊し敷地売却・取壊しのいずれも分子は3分の2で決議可能です(分母は全区分所有者及び議決権(敷地売却を含む場合は敷地利用権持分価格も)となります。)(改正被災区分所有法2条)。

㉔団地内建物の全部又は一部が全部滅失した場合の措置(新法78条から85条)
全部滅失の場合、5年は管理組合が存続することは単棟の場合と同一です。
その間に再建承認決議(出席者の4分の3以上、新法81条)、建替え承認決議(出席者の4分の3以上(緩和事由あり)、新法82条)、建替え再建承認決議(出席者の4分の3以上、新法83条)、一括建替え等決議(新法70条と議決要件同一、新法84条)、一括敷地売却決議(新法70条、71条と議決要件同一、新法85条)が可能です。

コラム

前の記事

区分所有法の改正(3)