賃借人死亡後の残置物処理

単身居住の高齢者の方がアパートなどの借家に住んでいる場合、亡くなった後の契約関係や残置物の処理に困ることがあります。

専門家に戸籍調査を依頼して相続人となる方の住所が判明すればよいのですが、身寄りがなかったり相続人と疎遠で協力を得られない場合にはなかなか難しい問題になります。

一つの解決方法としては、賃借人の生前に第三者との間に死後事務の委任契約を結んでもらい、契約の解除や残置物処理に関する事務を委託することがあります。最近、国土交通省もこの点に関するモデル契約をHPで公開しました。

ただ、これらの場合でも賃貸人(大家さん)は委託先になれません。管理会社を委託先にすることは直ちに無効とはいえないとされますが、物件管理を委託している大家さんと死後事務を委託している賃借人の利益が相反する場合も十分考えられますので、具体的な場面ではかなり難しい判断を迫られることもありそうです。

本来は居住支援法人(国土交通省HPにリストがあります)や社会福祉法人が望ましいとされていますが、特に地方では担い手不足が懸念されるところです。

今後、全国的にこのような問題は増えていくと思われます。もちろん生前に契約などで備えをしていただくことも重要ですが、あらかじめ緊急時の連絡先を聞いておき、2~3年ごとに更新してもらうくらいでも十分手がかりになります。亡くなってしまった後ではどうにもならないことが多いので、大家さん側で気を配ってもらうことが必要かなと感じます。

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