裁判例紹介(管理組合理事長に対する帳票類の閲覧請求)

マンションの管理規約には、理事長が会計帳簿などの帳票類を保管すること、また、管理組合員(区分所有者)及び利害関係人から理由を付した書面での請求があればこれを閲覧させるべきことが規定されています(参考として標準管理規約(単棟型)64条)。

ここでいう「利害関係人」とは,債権者など法律上の利害関係のある者をいい、単に親族関係にあるだけの者は対象とならないとされていましたが、近時の札幌地方裁判所令和4年5月26日判決(判例タイムズ1508号235頁)は、同居の配偶者も「利害関係人」に含まれると認め、帳票類の閲覧請求権を認めました。

理由としては、①同居人も組合員の議決権を代理行使して総会で意見を述べられること、②このマンションの規約によれば理事及び監事には同居の配偶者も就任できること、から組合員に準ずる地位にあるとしたようです。上記①については標準管理規約においても同居の親族を代理人にできる(単棟型46条5項など)としているので多くのマンションに妥当しますが、上記②につき、標準管理規約は組合員と同居する配偶者も理事及び監事の資格があるとまではしておらず(単棟型35条2項など)、このマンションでは選任資格を拡大したものと思われます。判決理由では帳票類を確認し、管理組合の運営に意見が言えればそれで足りるとしているようにも思いますので、理由付けとしては上記①だけでも足りていると考えれば本判決の射程が及ぶマンションは相当広いことになりますが、上記②のように運営中枢にまで関わる可能性があることが必要となれば、射程は限定的に捉えられるでしょう。

一般的な解釈にとらわれず、規約の他の規定をも考慮して解釈をしていくべきという、ある意味で基本に立ち返った判決かと思いました。

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